10年前の話ならできる

先日約10年前の映画を仕事の資料用に見る機会があった。もう結構良い歳だからか10年前でさえさほど昔に思えなかったんだけど、借りてきたDVDに入っていた他の映画の予告編なんかを見ると、時の流れが感じられた。

 

そこからふと就職活動とか会社の評価面談の時に聞かれがちな「10年後どうなっていたいですか」という質問のことを思い出した。

かねてからこの10年後の話がとても嫌いで、未だに適切な答えがわからない。

多分ビジネスの場で聞かれることだから、本音じゃなく相手から信頼のおけそうな論理的かつ相手の利益にもなる計画を話せることがその場ではふさわしいのかなと思う。

でも相手が望むようなことを言っていればその場は切り抜けられそうだけど、結局自分がなりたいものにはなれないんだよなーとかずっと薄っすら感じている。そして状況も人間も変わるので、ある程度軌道修正できる余裕も欲しくて自分の中でも曖昧にしてしまいがちなのだ。

 

でも10年後のことが難しくても、10年前の話ならできるよな、と思って10年前に自分がどうしていたかを顧みてみることにした。日記はつけていないけど、絵はずっと描いているので、10年前の絵を見てみればその時のことを思い起こすことができて便利だなあと思う。

 

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2012年3月4日に完成した絵。

この記事を書いているのが2022年3月3日から4日にかけてなので、ちょうど10年前。

……そうだ、この時期はやたらにBL的なものとか美少年が描きたい時期だった。何故かはわからないけど、精神的にあまり調子のいい時期ではなかったのが思い出せる。

 

■ニキビ大爆発期

 

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これらの絵は同年の5月ごろに描いたっぽい。

当時私はストレスが原因なのか、ホルモンのバランスを崩してひどい皮膚炎(ニキビ)状態で毎日マスクをして隠していた。……という状況をかなりそのまま絵に描くくらいきつかった。

(ちなみにこの女の子は明らかに自己投影しているけど私とは全然似てません。)

 

見られるのも辛いけど、単純に痛みが酷く、夜寝ている時の寝返りで触れた皮膚から、枕が血だらけになるのでタオルを敷いた上にマスクをして寝ていた時もあった気がする。

ニキビだらけの顔を露わにしていると、「ニキビ、大丈夫?」と聞いてくる人がいて、もう痛みもあって心がすさんでいるので、「見りゃわかるだろ。大丈夫じゃねえよ」と、答えたくなりつつ柔らかい表現で返すのもしんどかった。

とはいえ、自分も普段ニキビのないタイプの知人友人の顔にできものがあったら、「大丈夫?」って聞いてしまうことはある。でも反射的にその言葉が出てしまうことについて考えると、痛そうだなーと想像してしまってソワソワした結果、安心したくて聞いてしまってるのかもしれないと思った。これは相手のために聞いているんではなくて自分のために聞いているので、思いやりではないなと思った。だから気をつけたい。

 

もともと皮膚が弱いので、ニキビに悩まされるのはこれが初めてではなかった。しかしこの皮膚炎に関してはずっと通っていた皮膚科で新薬の治験を受けたりもしたけど効果は出なかった。

そんな時、歯医者で会計を済ませる時に、歯科衛生士の女性が控えめながら大胆なことを言った。

「あの、もしかしてニキビでお悩みですか?」

ぎくりとした。「ニキビ大丈夫?」の質問にうんざりしていたので一瞬警戒したのだけど、彼女は明るく続けた。

 

「私も肌が弱くてマスクをずっとする仕事でよく荒れてしまうんですけど、ここの病院に行ったら良くなったのでお勧めします」

 

それで、紹介された病院に行ったら血液検査でホルモンバランスが崩れたのが原因だとわかってピルと飲み薬と光治療と結構費用は嵩んだけど治りました。

……その病院で治癒できなかったらそう思えなかったかもしれないけど、どっちにしても医療に関わる人が仕事の範囲を超えて他の人の健康に対しても気を配る人間だったのはなんか嬉しかったな。

 

以前の皮膚科だとホルモンバランスの検査はなくて、基本塗り薬による治療でうまくいかなかったので、もし女性で皮膚炎で悩んでいる人はホルモンバランスの治療を試して見てほしい。

ちなみに女性ホルモンと男性ホルモンのうちの男性ホルモンの値が高くなりすぎたのが原因で、カルテには「男性化症」と書かれてたと思う……

(男性もホルモンバランスが原因の皮膚炎があるのかもしれないけど経験上わからないので特に女性にお勧めします) 

 

私はそもそも自分の外見が嫌いで、写真に映るのも好きじゃない方なんですけど、ここまで自意識過剰になってしまった原因は長い間皮膚炎に悩まされていた(化粧で隠せるレベルではなくて何か塗ったら悪化するし痛かった)ことも大きいと思うので、もっと早めに知りたかったなあと思う。

写真に映ることへの恐怖が軽減してきたのは多分ニキビ問題が解決してからだと思う。

……でも未だに思春期みたいに自分の見た目が好きじゃないのは継続していて、10年成長してないなあ……

 

■絵のこと

しかし、絵を描く意欲は10年前より今の方がずっとあるので、少しほっとした。

基本的に昔の方が良かった、と思いたくないしあまり思わない方なので案外自分には楽観的な面もあるんだなーと、ここ数年は過去を振り返る度に思う。 

 

当時は心の底から描きたいものがない時期だったというか、描いてて楽しいというより、内心のストレスを絵で発散しようとしていた感じで割とネガティブな創作だったと思う。でも集中力がもたないのであまり情報量が多い絵が描けなかった記憶がある。

あと確かこの時はSAIとPhotoshopで描いてたような。

 

絵描くのやめようとは思ったことはなかったけど、10年後にスウェーデンのオカルトロックバンドを追っかけてグッズの絵を描くようになるとは全く一ミリも想像していなかったので、やはり10年後の話はできないよな。

……いや、就活での質問だったら実際に10年後の状態を当てなくてもいいんだろうけど、なんかやっぱり真剣に考えるならパッと答えの浮かぶものじゃないでしょ。何が突然現れるか、わからないから。

なので多分軽く「10年後のこと」を聞いてくる人とは多分そもそも気が合わないのだと思う。

 

描いていた絵そのものを今見ると、手癖で描いた時のデザインの傾向が良くも悪くも変わってないのでもっと資料見ないとなと思った。

仕事で絵を描くときはある程度依頼者側がコンセプトを持っているので、そこに自分の解釈や好きなシルエットみたいなものを足していく作業なので、全部自分一人で発想するよりずっとやりやすいんだよなというのも改めて感じる。

10年前は絵の仕事はほぼできていなかったので、今は細々とだけど依頼もあってよかった……

でも職業・イラストレーターというにはまだまだなので、できるだけ長生きして頑張りたい……!

 

■まとめ

結局何が言いたかったのかというと、

 

1. ニキビが治らなくて悩んでいる子にはセカンドオピニオンをお勧めしたい。

2. 仕事で誰かからアイデアもらって描かないと、心の奥のドロっとしたものがにじみ出る絵ばかり描いてしまうのは変わってない。

3. それでも今の方が楽しい。長生きしたい。

 

という話でした!!

だらだら冗長になってしまったけどたまには自己分析と文章書く練習も兼ねてまた更新してみたいと思います。