久々に映画の感想の記事を。
今回は日本人アーティストがほぼ1人で作り上げたストップモーションアニメ。
海外で先に評価されて日本でも公開、というような情報とビジュアルだけを見で鑑賞しました。
基本的に新作の映画は特に、あまり多くの情報を入れずに見たいので、予告編の映像も見ずに行ったけれど、デザイン面、特に背景美術はとても好きなタイプのもので良かった。
配線などが雑多な地下世界、という少し古風なサイバー表現は、私が恐らく一番アニメや漫画、ゲームにハマっていた時代あたりまではよく見られた世界観な気がする。
っていうか、最近明らかに減ったよね……こういうスタジオ4℃みたいな感じ。
アニメーションの技術そのものについては、目の肥えた人が見たらどうなのかわからないけど、個人的には違和感はなく、商業的な複数スタッフが関わったものと並べても遜色ないように思う。
なので、ほぼ個人制作の作品という前提で見ればかなりレベルが高く、批評するにしても、あとは好みの問題によるところが大きいかもしれない。
多分日本より海外で先に評価されたのは、キャラクターの造形(主にモンスターデザイン)が日本で人気の方向性じゃないからかもしれないと思った。
しかし、ストーリーや登場人物の設定自体は多少オフビートで個性的なものもありつつ、大筋は昔ながらの王道ものな印象だった。
前述した通り予備知識を入れずに見るタイプなので、ポスターなどの絵面から、私はチェコとかフランスとかのアートアニメに影響された内容なのかと思っていたが、良い意味では見やすくオールドスクール、一方で目新しさはあまりなかったように思う。
特にヒロインのキャラクター性が、「可憐だけど陰のある少女」という昔からあるすごくベタなものな気がした。
いや、「今の時代のヒロインはこうあるべきだ!」みたいな話でなくて、特にこういう個人制作の作品では作者が好きなものをいれるのが正解だと思うんだけど、話を展開させるために用意されたキャラのような感じがしてしまった。
入れたい要素が多くてボーイミーツガールが物語の本筋ではないのに無理に入れられてしまったような感じがしたかな。
他にはアクションシーンの音楽演出が、これも王道の商業作品のような入り方(ここ盛り上がるシーンですよ、と説明するかのようにアップテンポの曲が入る)で、音楽そのものが少し古いゲームのBGMみたいな感じだったのも個人的にはミスマッチな気がした。
たしか監督が音楽も作ってた気がするので、予算が掛かってないだけで、アレンジや音源をシンセぽいものから変えたら違うのかも。
と、好みじゃなかった点も書きましたが、また次の作品があるなら見てみたいと思いました。
エンドクレジットで同じ名前がずらーっと並ぶさまは微笑ましく、7年かけて作り上げたことも含めて素晴らしいと思いました。
ふと、この「同じ名前が並ぶクレジット」、大学時代に見た短い古いアニメ(本当にアニメの黎明期ぐらい古い)で同じようなのがあった気がするんだけど何だったか思い出せない……ウィンザーマッケイだった気も……まあいいか。