さて、私だけかもしれないが気温や気圧の変化で心身ともにやられているのか、とにかく「無理すればなんとかなりそうだが調子悪い」という状態がこの数日続いている。
毎年この時期はこんな調子な気がするので驚くことも焦ることもないのだけど、今年は少なくとも去年と違って本気で絵を描く機会が多くこの半年で消耗してしまったなあと振り返りも兼ねて、最近あった仕事のことを書いてみる。
この話はどう転んでもいつか誰かに話したいと思ってリアルタイムでメモをしていた話。
始まりは4ヶ月前まで遡る。自分でもこんなに前の話だったのかと驚いた。最近でもないね……
パンデミックに人々が慣れ始めた2022年2月の下旬、GHOSTのグッズデザインでお世話になっているグローバル社のアートディレクター、E氏から「Ghost以外のデザインにも興味ない?」というメールが来た。
面白そう!と思ってそのメールを読み進めると、
「Motley Crueがまたツアーに戻ってくるんだけど、そのプロジェクトに参加しないか?」
大抵メールが来るのがこちらの時間の深夜から明け方なので寝ぼけて読み間違いとかガチの夢の可能性あるよなと思って朝もう一度確認したんだけど、本当だった。
で、先に結論から言うとこの仕事で私が描いたデザインは日の目を見なかったわけだけど、確かに私はこれに参加した。
作業に対する報酬はちゃんと出たから仕事としては無駄では無かったけど、やはり私は作ったものが狙い通り形になって世に出ることがお金よりも、とは言わないけど同じくらい重要だと思っているので、少し……いや正直なところ結構落ち込んでいる。
でも瞬間だけを切り取ればこれほど楽しい仕事もなかった。その思い出を自分の頭に印象付けたいからここに書いておく。
体力も時間も消耗したけれど、「この仕事を誰にも取られたくない」みたいなそうそう抱く機会のない情熱で絵が描けのは奇跡的だったと思う。
概ね好評なフィードバックばかりだったので結果はボツだったわけだけど作業中は非常に良い精神状態で働けたと思う。
どういうプロセスでボツになったかは正直よくわからないし他のデザイナーとのコンペ形式だったのかもよくわからない。でも自分としてはその詳細は別にそんなに知りたくはない。
グッズ会社を通してNikkiに絵を見て貰えた(らしい)のも良い思い出になったしね。
この結果から今後には繋がらないのかもしれないけど、この仕事をしながら強く思うようになったのは、こういう仕事がもっとしたいということだった。
今回の仕事は明確に決まった構図やデザインからイラストに描き起こすというより、キャラクターデザインに近いものがあった。
しかもかなりの自由度があった。だからこんな依頼は滅多に来ないのもわかっている。しかもかなりキャリアのある有名なバンドの仕事である。
……有名であること自体が仕事の楽しさに直結するとは断言できないんだけど、イラストレーターとしてのキャリアを確立する中で誰と仕事したのかはきっとかなり重要なのだと思うので、これが成立していたら自分にとってはかなりでかい一歩になり得たと思う。
で、一度こういう仕事をする可能性に触れてしまったので、これまで選択肢にも浮かばなかった分野ながら、今は良い歳して夢見る学生みたいな気持ちになっている。(良いか悪いかはわからない)
それにしても今回の仕事はフィードバックが返ってくるまでに間があったこともあり、期間としては5月頭まで作業していたことになる。
期間の長さも無念さに拍車をかけるし、単純にこの半年他の絵についてもだけど「他の人より頑張らないと」みたいな気持ちで頑張りすぎてしまって、その疲れがいまだに取れないのかもしれない。
そんなわけでしばらく傷心を癒してからまた新たに絵を描こうと思います。
やりたいことは主張しといたほうがいいと聞くので、とりあえず今後はグッズのデザインの他に海外の新人ロックバンドのアートワークを初期から担当して、そのバンドが人気になるのを見るのが夢!!
……いや人気になるかどうかよりも一緒に世界観作る作業が楽しい仕事がしたい、というのが本質的なところかなあ。
とりあえず絵のクオリティ上げるために精進あるのみです。
ちなみに実はこの機会にモトリークルーをたくさん聴いてすっかり好きになりましたねー
若き日の彼らの美しさにも驚いた。私はミックが好きです。