1899(Netflix)の感想

ネタバレ厳禁系のネトフリのドラマが面白かったので、個人的な好きポイントとか好き勝手に書かせてくださいー!

一応見てない人にもおすすめしたいんでサラッとあらすじとか魅力の紹介をネタバレ無しで書いてからにします。

 

■あらすじ(ネタバレなし)

1899年の客船ケルベロス号に乗り込んだ乗員乗客が、4か月前に行方知れずになったプロメテウス号を発見し、救助に向かうもそこにいたのは奇妙なピラミッド形の置物?を持った少年だけだった。

そして少年を保護したケルベロス号では怪奇現象が起こり始める……

 

という、幽霊船ホラーみたいなとこから始まるドラマです。

脅かし演出やあからさまなホラー演出はなくて、ミステリアスな内容。「何が起こってるの!?」と考えながら見る感じです。

 

■個人的推しポイント(ネタバレなし)

まず、映像とか演出、音の使い方とかが娯楽映画ぽくなくて、アート系映画の趣があるところが好き!

これは裏を返すと展開のテンポが遅く、行間を想像で埋めて楽しんだりしないタイプの人には向かないかも。実際眠いというレビューもあるようだし。

ミニシアターでやるような映画も見れるタイプの人にはおすすめしたい!

 

驚いたのは今回コロナ禍のために制約があり、屋外に見えるシーンもスタジオセットとそれを取り囲むように設置された巨大スクリーンに映した遠景で再現してるというところ。

製作者たちも太陽の光の再現に不安があったがうまくいったと言っていたけど確かに違和感がない。

ちなみにこのドラマはドイツのクリエイターによるもので、あのフリッツ・ラングメトロポリスで使ったスタジオを使用しているそう。なんか感動。

 

それから、船に乗り合わせたメインキャラクターたちの国籍が多彩であらゆる言語が飛び交うところ。それもあってキャラクターの個性も立ってたと思います。キャストも良かった。このチームのキャスティング担当は前作のダークでも思ったけど全員キャラに合ってて良い。

全部英語に吹き替えた音声もネトフリに入ってるけど個人的にはこのエキゾチック感が良いのでオリジナル音声で見てほしい……

ダークでも聖書の引用が多かったけど、これもバベルの塔の話となんか関係あんのかなー。(これは私の勝手な推測)

 

=======ここからネタバレするよ========

 

 

ネタバレっていうかすいません、かなりオタク視点で楽しんでしまったんで冷静な物語の考察はあんましないと思います……(キャラ語りしたい)

 

 

 

 

■個人的には割と序盤でもしかしてそうかなと思ったんだけど、これは1899年の幽霊船ホラーじゃなく、2099年のヴァーチャルリアリティSFだったのだ……という感じのところでシーズン1は終わる。ボウイのスターマンと共に宇宙船の映像で終わるのはよかった。他にも毎回エンディングの曲が古めのロックなのが凄い良い。

でもこれの最後の宇宙の世界も仮想世界かもしれないので未だ全貌は謎。

仮想世界ネタは90年代末あたりにやたらに流行った気がするのでこれ自体は新しい感じはしないのでそんなに驚きは無かったんだけど、タイムトラベルものという古典的なネタでちゃんと面白かったのがダークなので今後の展開に期待……打ち切りにしないでくれネトフリ……

 

第一話でWhite Rabbitが挿入歌として使われてるんだけど、マトリックス・リザレクションと同じ曲なのはあえてなのかなー🤔

 

これ単なるうんちくですが、マトリックスよりも攻殻機動隊よりも前にヴァーチャルリアリティSFの映像化をしたのはドイツのライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの「あやつり糸の世界(1973年)」なので、ドイツのクリエイターがこれをやるのは興味深いですね。

もしかして「あやつり糸〜」はこのテーマでの映像化世界初だったりするのかな?

あと改めて調べて知ったのが原作がダニエル・F・ガロイの『模造世界』で、映画「13F」と同じらしい。ファスビンダーは観てるのになぜかこっちの映画は観てないので関係なさそうだけど手に取りやすいこっちを今度見てみようかな……

 

って、13Fってエメリッヒかよ……

もしやドイツ人好きするテーマなのかこれ。

ドイツ哲学とも親和性が高そうだけど。

 

アンヘルとラミロが好き……

スペイン人の金持ちぽい男アンヘルと司祭のラミロの兄弟……として船に乗り込んでるんだけど、実際兄弟じゃなくてカップル。ラミロは実際は司祭ではなくポルトガル人の召使らしい。

 

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二人の関係が不覚にもめっちゃ刺さってしまった……

正直二人のシーンだけ何回も見直してしまったしファンアートも描いちゃったし……やば。

ドラマとか映画にこういうハマり方するの、もう何年もなかったんで我ながら動揺している。

 

ラミロの方が年上ぽいけど立場的に召使いらしく?アンヘルの方が偉そう。アンヘルは下位の船室に乗ってるデンマーク人の若者クレスターくんに手出したりするので「モラハラ浮気野郎じゃねえか……」とか思うんだけど、これがもしかしてツンデレというやつだったんか……という感じにラストでなる……(個人の感想)

ラミロはアンヘルから臆病だと言われつつも、船での緊急事態に対処しようと頑張るし結局アンヘルの心配したりと健気すぎ。マジでアンヘルが最期に「なぜ俺を愛した」っていうのにそれなーーと思った。しんど。

でもなんだかんだラミロの性格をアンヘルは把握してるんだよなっていうのが答えなのかなとか割と真剣に考察してしまった。

痴話喧嘩の末に結局仲良いのかよ、みたいなのがなんか良い…… 

 

余談。インタビューウィズヴァンパイアのルイとレスタトもそんな感じがあって好きなのかも。トワイライトには痴話喧嘩無いから好きじゃなかったんかも。

サスペリア2の主人公とヒロインの関係も似たところあるな。好き……

 

ラミロが心ここに在らずなアンヘルに寄り添ってるところとか、アンヘルが正気取り戻したときにすごい嬉しそうなの良すぎる。

アンヘルがやたら絵が上手いのも裕福な家の子ぽくて良かったなあ……ラミロも描いてあげてよ……

 

その他にはアンヘルの背中の傷と母親と何があったのかとかも気になる。ラミロが殺した男(本物の司祭?)はアンヘルとの痴情のもつれなのか。

早く答えをくれ…… 

 

前述したように俳優が凄いキャラに合っててよい。ラミロの笑顔に哀しげなニュアンスがあるのが凄い好きなんですよね……(意識してやってなさそうだけど)

 

アンヘルがクレスターを口説くシーン、必要なのか?とか思うんだけどこれはクレスターの姉のトーベがレイプの末に妊娠してしまってることの原因にクレスターの性的指向があるからそこを補強するための演出なのだろうか。

でもそもそも登場人物の何組かは三角関係のようになっていて、前編通して登場する三角錐(ピラミッド)、大地の錬金術記号(逆三角形の下部に横線)などと関連した象徴的な要素の一つな気もする。

単にアンヘルが好色だからではなくて、ラミロが身分を詐称してるから大っぴらにいちゃつけないせいで、別の所に手を出してる……とかだとしんどいんですけど流石にこれは私の妄想ですね。

 

■とは言ってもヴァーチャルリアリティ。

色々語ったけどこの設定、全部コンピューターのシミュレーションで今回死んだ人たちも現実世界では眠ってるだけというのが最後に明かされてるので、私が悶えてるアンヘルとラミロの関係も実際どうなのか謎。

でも主人公モーラの夫ダニエルは現実世界でもそばにいる、とモーラに言ってるのである程度人々の関係性は近いものがありそう。(アンヘルとラミロは隣同士で寝てたからね!!くうぅ!)

ダニエルも一途な感じで良いんだよなあ。俳優も好き。

 

私の浅い考察ですが、時計みたいな音に誘われて身投げした人々は現実世界にはもう肉体がない仮想世界にだけある人格なんじゃないかと考えてます。アンヘルがあの音がしてる時身投げはしなかったけど意識無く歌い出すのはなんか関係あるんかとかアンラミ推しとしては気になりすぎる…… 

何となく他の登場人物が仮想世界内の過去の記憶を思い出すときに意識飛んでるぽいのでそれなのか?と思っている。(あの手紙がなんか関係ある??)

 

シーズン2では宇宙船が出てくるけど3でさらに真相の世界がありそうな構想になってそう。

ダークもそんな感じだったしなー

 

それとオープニングに出てくる人が全員じゃ無いのも気になる。

私の考察だとクレスターは実在しないのでは?と思ってるけど彼はオープニングにも出てくるので実は重要人物なのかも?

ちなみにこの俳優さんもめっちゃ儚げ美少年でよかった。絵に描きたくなる気持ちわかる……

 

■長々ありがとう

いやーめちゃ語った。浅い考察はもう一度見直したりしたら全く違ってそう。

余談多すぎそれすぎなのは普段の私の会話の仕方まんま再現されてて読みにくいと思うけど思いの丈を吐き出せてよかった……読んだ人いるかわからんけど、とりあえず完結してる同じクリエイターのダークはネトフリのドラマの中でもかなり楽しめた作品なのでおすすめします。本作1899はまだ全貌わからないので勧められるか微妙ですが、まあ個人的萌え成分かなり摂取できたのであたしは満足……ありがたやありがたや……

 

原作にはっきり描写されてない所からBL妄想とかは全くできない人なんですけど、こういうはっきりキャラ造形されてて考察の余地もあるとハマっちゃうんだろうな私。