Fantasianが非常に心に響いた話

今回はFantasianというゲームの感想を書きます! 

 

しかし書き初めから上手くまとめられる自信が無い。一言で言うなら表題の通り、心に響いたので高評価なレビューであることに間違いは無いんだけど、私はこのゲームそのものに加えてこれを通してかつて好きだったものたちの要素を見ている部分があるので、話がシンプルにまとまらないのが既にわかっているのだ。

 

このゲームはFFの生みの親である坂口さんとFFの音楽担当の植松さんが再び組んで作られたApple Arcade向けのゲームアプリです。

Apple Arcadeはゲームが定額で遊べるApple製品向けのサブスクサービス。

正直、今のところ力を入れてプロモーションされているゲームはこのFantasianくらいという印象が強いサービスで、私もこのゲームのために始めました。(初月無料です)

 

ゲーム内容はエンカウトでターン制の戦闘になる昔ながらのRPGなので、現在の自分に昔みたいに地道にこういうシステムのゲームをやれるのかが心配だった。

最近RPGでもアクションが多くてエンカウトして戦闘画面に切り替わる、というテンポ感のゲームは面倒な印象があるのだ。

しかし、このエンカウトで移動がいちいち中断される問題は「ディメンジョン」というシステムでかなり緩和されている。既にこのゲームの特徴として情報が出まくっているけど、エンカウントを「溜めて」あとで一気に数十体の敵とまとめて戦えるシステムになっている。

これはもう一つの特徴として挙げられる「背景がすべて実写のジオラマ」であるのをじっくり見たいので、途中で中断されないようにという坂口さんのアイデアらしい。

 

忖度なしに言うとこのジオラマの背景は解像度が低く感じるところも多少あったり、移動時に切り替わるカメラが慣れるまで違和感があったりして個人的にはそこまで必然性を見いだせなかった、というのが本音だったり。(売りの部分なんだけども!うううごめんなさい。)

でもカメラ切り替えなどと含めて凄い作りなんだけどね!デザインそのものもとても良いし。

坂口さんがツイッターに上げているジオラマの写真はどれも素晴らしいと思うので、画質の問題なのかも。もっと高画質で観たかったなーと思います。

 

で、戦闘の話に戻ると、このゲーム結構ボス戦のギミックがシンプルながら凝っていて、適正レベルで行ってもボスの行動パターンを把握して適した装備で挑まないと勝てないので、難易度が高いという評価もあるらしい。(レベルかなり高くないかぎり初見で勝つのはかなり難しいのでは)

私はなんの先入観もなく遊びたかったので、終盤になるまで関連記事やインタビューもあまり見ないようにしていたんだけど、それを知って「あーやっぱりこれ難しいのか!」と納得。

敵の行動メモして戦ったりしたな……

ただこれは動体視力とか反応神経とかが求められる難しさではないので何回もやれば私のようなアクションはだめだけどシヴィライゼーションみたいなゲームは何時間もやるタイプには楽しめる内容でした。

というか、こんなにシンプルなターン制バトルなのに結構頭使うところが凄い。バトル以外の世界観(音楽)やキャラに惹かれて始めたけれど、ゲーム部分がちゃんとゲームだったなあと思う。

FFでライブラとかあんま使わなかったんですけど、このゲームでは敵のステータスを見るスキルが必須な気がしました。HPが一定値を下回ると行動パターンが変わって強い技使ってきたりするので。そしてラスボスは如何にバフ(ステータスアップ)を盛れるか、相手のステータス下げておくかが重要すぎてはらはらしました。この技最後まで使わなかったなーみたいなのもあるんですけど、これ必要なのか?みたいな技がピンポイントで必要になってくる時もあって、キャラごとに使える技の配分も絶妙。全員使わないとかなり厳しい戦いになるのも良かった。

ラスボスが難しかったこともあり、最後クリアしたときはなんか勝ったこと自体に感動してなのか泣いてた。笑 (演出も良かったんだけど演出で泣いてるのか強すぎたから泣いてるのかわからなかった……)

 

ゲームシステムそのものはボス戦が特に面白かったですね。

そして、一つの作品として見ると、FFが大好きだった身としては懐かしさや改めて発見することもあって、なかなか簡潔に表現出来ないといのが、冒頭で書いた話です。

 

まずストーリーと世界観。

決して「ダーク」ということはないんだけど、何処かに切ない感じや死のモチーフがあるところが、「ああ、この感じ私が子供の頃に親しんでたスクウェアのゲームの雰囲気だ」と思った。キャラクターや一部のフィールドのデザインもわかりやすい西洋風のファンタジーとも言い切れない無国籍な感じが良い。

特に神々のデザインはむしろ仏教的な要素も感じられて独特だし、剣と魔法の中に平然とメカが登場するのも、「私が好きだったファンタジー」だった。

では、これは懐古的なかつて子供時代にこういう要素に触れた人向けのゲームなのか、というと「きっとそうじゃない」と言いたい私がいる。

もうこれは超主観的な感想で願望なんだけど、そういう商業的な戦略ではなくて作り手が好きなもの、表現したいものが一貫して変わってなくて、その作品のクオリティを一番高められる得意分野でもあるから必然的にこのテイストなのだと……思いたい。

実際FFに熱中していた頃の私と現在同年代の子供たちにどう見えるかはわからないけど、絵の感じは古臭くなく現在のトレンドも取り入れられているように思う。

 

正直、クリアしたての時はもう少しキャラ同士の関係性や掘り下げた心理描写をもっと見たかったなとも思ったんですが、いや、この過剰さのない演出が最適なのかもしれない、とも感じるようになった。すべて説明しなくてもいいというか。キャラクターボイスが無いのもイメージが固定されすぎずに良かったのかも。

そして捻くれた感じが無いというのも良かった。尖った表現も嫌いでは無いんだけど、個人的には余りにも奇をてらったキャラや展開が多いと疲れてしまうので。

……でもキーナとシャルルの服装が旅をするには違和感がありすぎるところが、最近のリアル路線のものを見過ぎたせいかちょっと気になってしまったけど……

 

他にも

他人には懐かない獣連れてる人とか

お姫様の攻撃から出る竜騎士ぽいやつとか 

ラストダンジョンの攻略の仕方とか

ラスボスでタルカスぽくなるとか

 

色々と控えめながらセルフパロディかなと思わせる部分もあり楽しかった。

あとはやっぱり、

死者は甦らないけど助けてくれる、とか命を繋ぐ、みたいな死生観が過去のFFでも一貫して語られていたテーマだったよな、と思って深く刺さるものがあった。

死との向き合い方の話に加えて多様性の許容みたいなものも少し入ってたかな。

この辺については私が勝手に過去の記憶と繋げて感動してるところではあるので、うまく伝わらないかもしれない。

そして気がついたらハードを持っていなかったのでFF以外の坂口さんのゲームをやったことがないんですよね。もったいないことをしたなあとちょっと後悔。今回の歌入りのBGMの歌詞や多分重要なところのテキストは坂口さんによるものだと思うんだけど、そういうのも含めて作家性が出たゲームになってる感じで他のものも多分私は好きだろうなと思った。

 

作家性でいうと植松さんの音楽も当たり前に良くて、幅広いテイストの曲が入っていることや、本人が一つのゲームのサントラを全部手がけるのは最後かなと言っているだけに(寂しくもあるが)渾身の作品だった。

特にラスボスからエンディングにかけての曲はエネルギーかなり使っただろうなあといえ迫真さを感じるし、植松さんの曲だ!という揺るがない個性も健在。

 

多分この先もたくさんゲーム作ろう、という感覚じゃなくて、最後かもしれないだろ、な感じで作られていそうだけど、単なるファンとしてはまだ新しく作って欲しさを凄い感じる……

 

でもこれでダメなら最後にしよう、で始まったのが「ファイナルファンタジー」だったはずなので、今後の展開にも淡い期待を馳せたいと思います。

 

んーー結局綺麗にまとまらなかったけど、とにかく心がこもった作品で久々に自分はRPGが好きだったことを思い出した。FFが無かったら今の仕事もしてなかっただろうと思うくらいなんだけど、大人になってからまた同じクリエイターの純粋なゲームをやれて幸せです。

そして、時間を経ると作る作品のテイスト(作り手の興味)がガラリと変わったり、流行に合わせて変えたりということはよくあると思うんですが、根本的な部分が本当に変わってないと感じられたのも、ファンとしては勝手に嬉しかった。

 

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タンのファンアート。彼が一番すきでした。